夢

～あらすじ～

ここは様々な種族が人間と生活を共にする、剣と魔法の「世界」。 この「世界」には、炎を吐き、固い鱗と強大な力を持つドラゴンが数多く存在し、縦横無尽に闊歩していた。 人々はその力に為す術なく、ただ逃げ惑うばかりであった。 そのような状況も、綿毛の様に軽く、極めて強靭な「妖精の羽」と呼ばれる金属の発見により一変する。 その盾はドラゴンの炎を遮り、その鎧はドラゴンの爪でも引き裂けず、その剣はドラゴンの鱗を容易に貫いた。 妖精の羽を手に入れた人々は、ドラゴンを狩ることができるようになり、ドラゴン大乱獲時代へと 突入していくのである。

ドラゴン大乱獲時代に入り100年が過ぎた。かつて数万を数えたドラゴンの数も、残りわずか１００頭余りとなってしまう。 大乱獲時代を生き抜いたこのドラゴンたちは非常に知能が高く、人間と会話することもできた。絶滅を恐れたドラゴン長老は、 一計を案じることとなる…。

ここは、とある城塞都市。高さ20mほどの壁に囲まれ、周囲を歩いてまわると半日かかる。この城塞の王は10頭以上のドラゴンを狩った猛者で、 彼に従う兵士達も屈強な強者ぞろい。その軍事力を背景に、周辺の都市国家をも従えていった。最近、その城塞の王の耳にある噂が入った。 ”眠れる山脈に、封印された秘宝が眠っている。その秘宝を手にしたものは「世界」を統べる力を手にすることができる”というのである。 王は、その噂を確かめるべく城塞から2日ほどの距離にある山脈へ調査隊を派遣した。

100日に及ぶ調査の末、洞穴に怪しげな祭壇があるとの報告があった。早速、王は自ら少数の側近を引き連れ、その祭壇へと向かう。 洞穴の奥深く、行き止まりになったところに祭壇はあり、 奥の壁の一部が鈍く光っていた。王がその光る壁に触れた瞬間、洞穴内が激しく揺れだした。急いで引き返したが、天井は崩れ落ち 思うように進むことができない状態であった。命からがら洞穴から脱出すると、そこは以前の光景は無かった。そう、山脈そのものがドラゴン であり、それが逆鱗に触れられたことによって動き始めたのである。ドラゴン長老の一計とは、封印された超絶巨大ドラゴンを解放することであった。

その”山脈”は、逆鱗に触れた王を追おうとするも、動きは鈍重で方向転換するにも時間がかかってしまう。その隙に王は城塞へとたどり着く。 しかし、”山脈”が城塞に到達するのも時間の問題。そこで王は、高名な結界師を呼びつけ、結界で城塞を護るよう命じた。 高名な結界師といえど、”山脈”から護るほど強力な結界を張ると体力を消耗し、相応のリスクを負うことになる。だが、”山脈”が近付くのを 目の当たりにすると命令に従わざるを得ないのを理解し、結界を張った。その結界は要塞全体を包み、”山脈”の上からの踏みつけにも弾力を持って 弾き返した。なんとか危機を脱したものの、まだ王に対する怒りが無くなったわけではなく、方向転換し助走をつけて城塞に再度突進してきた。 そしてまた結界によって弾かれる。これを何度も繰り替えした。この方向転換と助走に要する時間は7日。週末になると城塞の空は巨大な”山脈”に 覆われることから、この”山脈”は、”週末の天蓋（ウィークエンドドラゴン）”と呼ばれるようになる。

巨大なドラゴンが毎週通る城塞周辺では、その被害が甚大で、城塞の王に対する不満が高まっていった。 城塞の王に抵抗する組織に属する剣士と、行動をともにするエルフ。彼らを中心に展開する物語。 この先のストーリーが作られるのは、これからである…。